木造住宅の工法の大まかな種類!それぞれのメリット・デメリットとは?
木造住宅の購入を検討していると、”住宅工法”という言葉を耳にすることがあると思います。工法とは、住宅の構造を意味し、この工法が違えば、住宅性能やデザインも大きく変わってきます。そのため、それぞれの工法の特徴をしっかりと理解することが大切です。そこで、今回は、木造住宅の基本3工法についてご紹介していきます。
木造軸組み工法の特徴
木造軸組み工法は日本の伝統的な工法で、在来工法とも呼ばれています。基礎の上に柱や梁といった軸材を組み合わせ、骨組みを構成します。強度を高めるため、筋交いで斜め方向に補強したり、連結部分に金具を使ったりするのが特徴です。昔ながらの工法であるため、日本の住宅の7~8割が木造軸組み工法といわれてきましたが、近年では木造軸組み工法のデメリットをカバーするため、他の工法と組み合わせることがほとんどです。
木造軸組み工法のメリット
木造軸組工法の最大のメリットは設計や間取りの自由度の高さといえます。建物の構造上で重要な柱などを残しておけば、簡単に間取りを変更できるため、増改築などのリフォームに向いています。また、自由度の高さから、狭い土地や変形した土地にも対応しやすいというメリットがあります。さらに他の工法と比べて、建築コストが比較的安価なのも、木造軸組工法のメリットでしょう。昔ながらの工法ということもあり、施工業者や部材の調達先が多いのが特徴です。
木造軸組み工法のデメリット
木造軸組工法は、ツーバイフォー工法と比較して、耐震性が低いといわれています。また、システム化された工法に比べると、職人の技術や熟練度で仕上がりが左右されやすいほか、工期が長くなるといったデメリットがあります。
ツーバイフォー工法の特徴
ツーバイフォー工法は北米から入ってきた工法で、日本では「枠組壁工法」とも呼ばれます。「2インチx4インチ」の角材と合板で“面”をつくり、その“面”を箱型に組み合わせていく建築方法で、柱や梁ではなく、壁で構造を支えているのが特徴です。ツーバイフォー工法は、性能や生産性にも優れており、年々シェアを伸ばしています。
ツーバイフォー工法のメリット
ツーバイフォー工法は、衝撃を面全体で受け止めて吸収・分散するため、従来工法よりも1.5~2倍の耐震性能があるとされています。面を組み合わせた箱型構造なので、外気の通り道となる隙間が少なく、気密性・断熱性・耐火性に優れているのも特徴です。
また、建築方法や使用する部材が規格化されているので、施工が比較的簡単といえます。職人の技術や熟練度に関係なく、住宅品質を安定させることができるのも、ツーバイフォー工法のメリットの1つです。
ツーバイフォー工法のデメリット
ツーバイフォー工法は、いくつもの面で建物を支えているため、多くの壁が必要です。床面積に対して、一定の壁の長さも必要なことから、大きな窓や開口部を設けることが難しく、間取りの自由度が低くなります。そのため、増改築などをする際も、設計に制限があり、リフォームには向いていないといえます。また、日本では歴史の浅い工法のため、施工業者も少なく、リフォームする場合は多くの費用が掛かることが多いようです。
木造ラーメン工法の特徴
ラーメン工法は、もともと鉄骨の工法で、大型施設などで採用されていました。木造ラーメン工法として、戸建て住宅にも採用されるようになったのは、かなり最近です。鉄骨ラーメン工法では、柱と梁が交わる結合部を溶接などで固く留めていますが、木造ラーメン工法では、結合部に鋼板やボルトを使用して固定しています。
木造ラーメン工法のメリット
枠部分をしっかり固定して組むことで、壁や柱を少なくできます。そのため、設計や間取りの自由度も高く、大空間を作ったり、大きな窓を設置したりすることが可能です。また、3階建てにしやすいというメリットもあります。壁ではなく、枠で構造を支えているため、将来的にリフォームが必要になった場合も、比較的自由に間取りを変更することが可能です。
木造ラーメン工法のデメリット
木造ラーメン工法は、地震などの横揺れに弱く、柱や梁の結合部に一定以上の力が加わると、鋼板やボルトが破損してしまう可能性があります。また、木造軸組工法やツーバイフォー工法よりも普及していないため、施工できる工務店やハウスメーカーが少ないでしょう。そのため、建築コストは一般的な木造住宅より高くなります。
今回は、木造住宅の基本3工法についてご紹介しました。“住宅性能“と”設計の自由度“に違いがあることがおわかり頂けたと思います。しかし、最近はこの基本3工法を組み合わせて、“住宅性能“と”設計の自由度“の両方を実現できる新しい工法がたくさん出てきています。「高い耐久性が必要な地域に住んでいる」、「間取りにこだわりがある」など、ご自分の条件にぴったり合う工法を見つけてみてはいかがでしょうか?