注文住宅における屋根の形状・屋根材の種類を紹介
住宅において、屋根はとても重要な役割を持ちます。そのため、注文住宅を建てる際は、屋根の形や屋根材の種類までこだわりたいところです。しかし、屋根を選ぼうにもどれが自分たち家族にとって適切な屋根なのかわからない人も多いことでしょう。そこで今回は、屋根選びで注目すべきポイントと合わせて、屋根の形状と種類を解説します。
屋根選びで注目したいポイント
住宅の屋根は、さまざまな役割を果たし、素材や形も多岐にわたります。屋根を選ぶ際に注目すべきポイントについて、以下で機能面を中心に紹介します。
耐久性
まず、耐久性です。屋根の最大の役割は、雨や風から建物を守ることです。そのため、過酷な状況に耐えられる耐久性が重要です。耐久性の低い屋根は雨漏りや台風時の崩落などの問題を引き起こしますので、しっかりとした耐久性を持つ屋根を選びましょう。
防水性
次に、防水性です。東京都の年間平均降水量は1,528.8mmに達します。このような大量の雨から守るために、防水性の高い屋根が必要です。防水機能は劣化しやすいため、メンテナンス時期にも注意が必要です。
遮熱・断熱性
遮熱・断熱性も重要です。屋根が日光を遮断することで、夏場の室温上昇を抑え、エアコンの使用量を減らすことができます。さらに、紫外線の遮断効果も期待できます。
防音性
防音性も考慮すべきポイントです。外部の音、例えば車や電車の音、飛行機やヘリコプターの音、さらには雨音を遮断する防音性能が求められます。
耐火性
耐火性も見逃せません。万が一、火事が発生した場合、耐火性のある屋根は火が付いても燃えるまでの時間を稼ぐことができます。また、近隣火災の延焼防止にも有効です。
耐震性
耐震性も日本では必須です。地震が多発する地域では、強い地震に耐えられる屋根の素材や重量を選ぶことが重要です。
価格
価格も考慮するべきポイントです。高品質な屋根を設置しようとすると予算を超える場合があります。全体の予算とバランスを取りつつ、どの性能を重視するかを決めることが大切です。
デザイン
デザインも重要です。一戸建ての住宅では、屋根はデザインの最後の仕上げとなることが多いです。住宅全体のデザインと整合性が取れた、おしゃれな屋根を選ぶとよいでしょう。
メンテナンス性
最後に、メンテナンス性です。屋根は劣化しやすい部分の1つであり、定期的なメンテナンスが必要です。屋根材によってメンテナンスの時期や費用は異なりますので、コストパフォーマンスを考慮し、メンテナンス性にも目を配りましょう。
注文住宅における代表的な屋根の形
屋根の形状は、建物の外観や機能性に大きな影響を与えます。好みだけでなく、法律や立地の制限、さらには気候条件などを考慮しながら選択する必要があります。以下では、代表的な7つの屋根の形状とそれぞれの特徴について詳しく説明します。
切妻屋根
まずは切妻屋根です。三角形の屋根が特徴で、シンプルな形状で設計が簡単でコストを抑えることができます。
寄棟屋根
次に寄棟屋根です。正面と背面に1枚ずつ、側面に2枚の屋根を重ねた立体的な形状で、雨や雪がたまりにくい特徴があります。
陸屋根
陸屋根は平らな形状で、屋上をバルコニーやエアコンの設置場所として利用できますが、雨や雪が流れにくく水たまりができやすいという特徴があります。
片流れ屋根
片流れ屋根は、一方向に屋根が傾斜しているデザインで、スタイリッシュな外観が特徴ですが、雨や雪が落ちる方向が1ヶ所になるため注意が必要です。
入母屋屋根
入母屋屋根は、切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせた複雑なデザインで、瓦を使った日本家屋によく見られますが、複雑なつくりのため雨漏りには注意が必要です。
招き屋根
招き屋根は、片方の屋根を長く、もう片方の屋根を短くして段違いのような形状にするデザインで、屋根が分散されているため風の影響を受けにくいですが、好みが分かれるデザインです。
越屋根
最後に、越屋根は小さな屋根が上に取り付けられたタイプで、明かり取りや換気窓の役割を果たしますが、特殊な工事やメンテナンスの手間がかかることがあります。
注文住宅に用いられる屋根材の種類
屋根材の選択は建物の外観や耐久性に大きな影響を与えます。それぞれの種類には特有のメリットとデメリットがあります。以下では、代表的な屋根材について詳しく説明します。
スレート
まずはスレートです。セメントと繊維材料で作られ、薄くて加工しやすいため使い勝手が良いですが、耐久性が低く割れやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
金属系屋根材
金属系の屋根材にはトタン、ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板があります。トタンは亜鉛メッキが施されており雨漏りがしにくいが、定期的なメンテナンスが必要です。ガルバリウム鋼板は軽量で耐久性が高く、着色しやすいが傷つきやすいです。
ジンカリウム鋼板は石粒でコーティングされ耐用年数が長いが、価格が高くコーティングが剥がれる可能性があります。
瓦
瓦は粘土で作られ、耐久性が高くメンテナンスが少ないが重量があり建物の構造に合わせる必要があります。
セメント
セメントは瓦に似た見た目と防音性を持ちながら安価ですが、経年劣化により割れることがあります。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは欧米で古くから使われており、割れにくく耐久性が高いですが、強風にさらされると石粒が剥がれる可能性があります。
まとめ
注文住宅の屋根選びは機能性とデザインのバランスが重要です。まず、耐久性や防水性、断熱性などの機能面を考慮しましょう。そして、切妻、寄棟、陸、片流れ、入母屋、招き、越屋根などの形状を自分たちのニーズに合わせて選択します。
そして、スレート、金属系、瓦、セメント、アスファルトシングルなどの材質を選択します。耐震性や防音性、耐火性などの性能と、外観や予算を総合的に考え、最適な屋根を選びましょう。